政治不安=金融不安になりかねない来週

 先週から日銀総裁任命問題で力のなさを露呈している政府ですが、ここに来て再度ダメ押しのように言われているのがガソリン税問題。盛んに報道されているように今月末で期限切れとなる法律を改正し延長または恒久化しようというのが政府与党の狙いです。
 しかし、そのガソリン税の使途が道路特定財源に限定されているのが第一の障害。ここのところその使途が限定されているはずの道路特定財源が全く無関係なものに使われていたりいわゆる裏金になっていたりということが明るみに出てきていて、国民の声の代表者を標榜する民主党としては普段以上に黙っちゃいられない。「何に使われるかわからない税金なんて続けられるわけがない」という訳です。また、もう一つの障害が原油価格の高止まり。スタンド価格で1リットルあたり150円という値段の中には現状53.8円のガソリン税が含まれています。この分を減らせばガソリン価格も下がるし国民にも喜ばれる、とまたもや国民の声を代弁しにかかります。
 今回3月31日に期限切れを迎えるのはガソリン税そのものの法律ではなく「租税特別措置法」で昭和32年に成立し更新され続けてきて今に至ります。ガソリン税に関しては昭和54年に追加成立。そもそもガソリン税とは?法律的に「ガソリン税」なるものはありません。実態は「揮発油税」と「地方道路税」の合計で便宜的にガソリン税と呼ばれています。税額は揮発油税が1リットルあたり24.3円、地方道路税が同じく4.4円。これが「租税特別措置法」によりそれぞれ48.6円と5.2円になっており、その差額は1リットル当たり25.1円。スタンドで実際に購入するときは二重課税で消費税も加算されるので26.4円が差額になります。今回これがなくなるかどうかが争点ですが、仮に実現したとしてもこの差額分(ガソリンの実質的な値下げ)が期限付きのものになりそうです。
 というのが、現在の国会で衆参のねじれが言われてはいるものの衆議院の議決が優先するという原則とともに憲法59条にある「法案の提出から60日を経過して議決されなかった場合には否決したとみなされる」という『みなし否決』の規定。現在参議院に政府与党が提出したガソリン税に関する法案「暫定税率維持を含む歳入関連法案」が可決されなければガソリン税の増額分は撤廃されるのですが、これが可決されずに60日後「みなし否決」となり参院から衆院へ送られて可決するとガソリン税が復活するという仕組み。
 システム的にはそうなってはいるものの素直に事が運ぶはずもありませんが、遅くとも5月か6月にガソリン税の復活でガソリン税の値上げとなります。
 しかし税収が減るのは痛い。
 そこで与党が打って出たのがガソリン税の一般財源化案。何に使っているか分からないって批判されるんなら何にでも使えるようにしちゃえ、というわけです。これに待ったを掛けたのが全国の都道府県知事。租税特別措置法の期限切れでの実質減税(地方道路税で1リットルあたり0.8円)ならともかく一般財源になると道路整備が立ち行かなくなるからそんなの止めてくれ、と。確かに一理ある。地方道路税は地方税ではなく国税として国に治められているものですが、「地方道路譲与税」としてそれぞれの都道府県へ税収の全額が配分されている実質的な地方税(それならば地方税にしてしまえないいのではないかということは今回は横に置いておきましょう)。そうなると国民の声に耳を傾けているという立場の政府としては二の足を踏むところ。そこで目を付けたのが民主党が提出している暫定税率に関する対案の存在。この法案は正確には「道路特定財源制度改革関連3法案」というもので、暫定税率維持のガソリン税に関する部分のみを削除し他の暫定税率の維持(オフショア市場に関する利子非課税措置法案等は存続)するというもの。ことオフショア市場に関する利子非課税に関してはこれがなくなると日本市場から海外資金が一気に流出することに直結し、ガソリン税を含む暫定税率維持とガソリン税を含まない暫定税率維持法案では趣が大きく異なってきます。政府としてはその資金流出を防ぐためにこの民主案を飲むしかないのですが、この可決=政府案の否決として衆院で再可決しまおうというのがその狙いで本末転倒とはまさにこのこと。
 民主党ももし政府がそのような手段に出た場合には問責決議案の提出を、とクギを刺しており、内閣法制局も法解釈としては対案の可決=政府与党案の否決とは認められないとしています。某教師の組合総会のホテル使用に関して裁判の判決を無視して会場を貸さなかったというホテルがありましたが、今度は政府与党がそれをやろうとしているとは。ガソリン税に関してだけではなくオフショアへの利子非課税まで撤廃となると経済的に大きな混乱が生じるというのに。一国の首相として威厳あふれる態度を示して欲しいところですが、渦中の人はこれを書いているところから100mも離れていないところで眠れぬ夜を過ごしているのでしょうか…?いや、高鼾が聞こえてきそうではありますが。

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